売買の場合
残金を支払う
- 一般的に引越しの前、買受人は売渡人に残金をすべて支払い、それと同時に売渡人は買受人に不動産所有権移転のための書類を渡さなければなりません(「民法」第568条及び「不動産登記法」第23条第1項を参照)。
- 残金を支払えなかった場合
· 買受人が定められた日に残金を支払えなかった場合、賃貸人は不動産売買契約を解除することができ、すでに受け取った契約金は違約金となり、返す必要はなくなります(「民法」第565条第1項)。
· 定められた日に残金を支払わなかったため、売渡人に損害が発生した場合、買受人はそれに関する損害賠償責任までも負わなければならなくなります(「民法」第551条)。
融資を受けた場合の担保設定
- 銀行等から住宅購入資金の融資を受けると、住宅に担保が設定されますが、通常は根抵当権の形で設定されます。
- 「根抵当権」とは、継続的な取引関係から発生する不特定多数の債権を将来の決算期に一定の限度額まで担保するために設定する抵当権のことをいいます(「民法」第357条)。申請人またはその代理人が登記所の窓口、またはインターネット登記所を通じて申請情報及び添付情報を提出し、根抵当権を設定することができます(「不動産登記法」第24条第1項)。
- 根抵当権設定登記の提出書類
· 登記権利者(債権者、銀行)の住民登録謄本(抄本)、または法人登記事項証明書及び登記義務者(買受人)の印鑑証明書(「不動産登記法」第48条第2項)
· 登録免許税領収済み確認書(「地方税法」第25条第1項第17号)
· 根抵当権設定契約書(「不動産登記法」第75条)
· 登記済み情報または登記済み情報通知書(「不動産登記法」第50条第2項)
· 委任状(登記義務者または登記権利者が相手から委任状を受け、一人で登記を行う際に必要)
賃貸人の場合
残金を受け取る
- 賃借人が引越して出ていく時、賃貸人から賃借保証金を受け取ることになります。
保証金を返してもらえなかった場合、賃借権登記命令制度の利用
- 「賃借権登記命令制度」とは、賃貸借が終了したにもかかわらず保証金を返してもらえず、引っ越すことになると、以前に取得した対抗力及び優先返済権を喪失し、保証金を返してもらうことが難しくなります。そのようなことを防ぐため、裁判所の執行命令を受け、登記を行い、対抗力と優先返済権を保つ制度のことをいいます(「住宅賃貸借保護法」第3条の3を参照)。
- 賃借人は賃貸借が終了し、賃借保証金の全部だけでなく、一部でも返してもらえなかった場合、賃借権登記命令申請書を作成し、提出書類とともに賃借住宅の所在地を管轄する地方裁判所・地方裁判所の支所または市・郡裁判所に受け付け、賃借権登記命令を申請することができます(「住宅賃貸借保護法」第3条の3第1項及び「賃借権登記命令手続きに関する規則」第2条第1項第5号)。
· 賃借人は賃借権登記命令申請と、それによる賃借権登記に関連する費用を賃貸人に請求することができます(「住宅賃貸借保護法」第3条の3第8項)。