民事訴訟の概要
民事訴訟
- 合意、調停、支払命令等の方法でも被害救済が受けられなかった消費者は、最終的に民事訴訟を提起することで紛争を解決することができます。
- 民事訴訟の結果、判決が確定すると、消費者と事業者は判決の内容による措置を履行しなければなりません。
- 訴訟には印紙代、送達料金等が基本として必要となり、証人を立てる場合は証人の旅費、検証・鑑定を行った場合は検証・鑑定の費用、弁護人選任の費用及び付随手続きに掛かる様々な費用があります。このように、訴訟には少なくない費用がかかるので、訴訟を考慮に入れるときは、訴訟の費用と訴訟時間を考え、実益があると判断した時に進めるのが良いでしょう。
民事調停と民事訴訟の違い
民事調停
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訴訟に比べ、費用が安く済むだけでなく、簡単かつ迅速に紛争が解決するという利点がある。 調停の成立に、関係者の合意を必要とするという点で訴訟とは本質的に異なり、第三者の仲介が必須という点で、必ずしも仲介は要しない和解と区別される。
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民事訴訟
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紛争当事者が権利を主張し、争いのある事実関係に関する証拠を提出すると、裁判所がどちらの当事者の主張が正しいか判断し、判決として紛争を強制的に解決する制度
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訴訟救助制度
- 裁判所は訴訟費用を支払う資金能力の足りない人の申請により、または職権をもって、裁判に必要な一定の費用の納入を猶予または免除することで、その費用を払わなくても裁判を受けられるようにする訴訟救助制度を設けています。ただし、敗訴が明らかな場合はこれに該当しません(「民事訴訟法」第128条第1項)。
- 訴訟を提起しようとする人と訴訟係属中の当事者が申請することができ、外国人、法人も申請できます。
民事訴訟の手続き
訴状の提出
- 紛争の解決を望む紛争当事者は訴状を作成し、裁判所に提出します(「民事訴訟法」第248条)。
・ 訴状を作成した人を原告といい、その相手を被告と言います。
訴状副本の送達と答弁書の提出
- 訴状が受け付けられると、裁判所はその訴状と同一内容の文書である副本を被告に送達し、被告は30日以内に答弁書を提出しなければなりません(「民事訴訟法」第255条第1項及び第256条第1項)。
- 被告が答弁書を提出せず、あるいは自白の趣旨の答弁書を提出した場合、原告の請求通り、訴訟が完了します(「民事訴訟法」第257条)。
- 被告が請求の内容を否認する趣旨の答弁書を提出した場合、弁論の準備手続きに移行します(「民事訴訟法」第256条第4項)。
弁論準備手続き
- 弁論準備手続の期間中は被告が答弁書を提出し、それに対し、原告が反駁の準備書面を提出する「準備書面の攻防」が行われます(「民事訴訟法」第280条)。
- また、準備書面及び証拠提出、証人申請、検証・鑑定申請を行うなど、弁論期日前に証拠調査をすべて終了しなければなりません(「民事訴訟法」第281条から第284条まで)。
弁論準備期日
- 弁論準備手続きにより基本書面の攻防が終了すると、裁判官は記録等を検討し、争点が浮き彫りになり、弁論期日前の証拠提出が一旦完了したと判断する紛争について、争点整理期日(弁論準備期日)を指定することができます(「民事訴訟法」第282条)。
- 原告と被告は争点整理期日に出席し、紛争の争点を確認し、相互の主張について反駁することとなります(「民事訴訟法」第282条)。
弁論期日
- 第1次弁論期日(集中証拠調査期日)は、争点整理期日に整理された結果に基づき、紛争に関連する原告と被告、及び両側の証人を集中して尋問し、尋問が終わったときから短期間のうちに判決の宣告を受けることとなります(「民事訴訟法」第287条)。
民事訴訟の効力
民事訴訟の効力
- 判決に敗訴した当事者が異議申し立てを行わない場合、判決が確定します。
- 判決に異議のある場合、判決日より2週間以内に裁判所に控訴状を提出することができます(「民事訴訟法」第396条及び第408条)。
大韓法律救助公団による法律救助
- 法律救助制度:大韓法律救助公団(
http://www.klac.or.kr)では、消費者被害関連の紛争事件が受け付けがなされると、事実調査の後、合意を勧告し、または訴訟へ進めるかどうかを決定しますが、訴訟が決定すれば、消費者に代わり、公団所属の弁護人または公益法務官が代わりに訴訟を行います。
- 法律救助の対象:物品の使用及びサービスの利用による被害を受けた消費者は法律救助の対象となります(「法律救助法」第33条の3及び「法律救助法施行規則」第7条第1項第5号)。
- 法律救助申請の手続き:申請者本人の住民登録謄本と法律救助対象者であることを疎明できる資料、主張の事実を立証する資料をもって最寄りの大韓法律救助公団を訪れ、相談をお申し込みください。相談が終わった後は、法律救助申請書と提出書類を大韓法律救助公団に提出します。
- 訴訟費用の償還:訴訟せず和解で終わった事件は費用が請求されませんが、訴訟が進められると、消費者は公団が支払った印紙代等の訴訟費用と弁護士報酬を償還しなければなりません。ただし、国家有功者、生活保護受給者、障害者、一人親家庭等、法令の定める人については、国が訴訟の費用と弁護人の報酬を負担することがあります(「法律救助法」第7条及び「法律救助法施行令」第4条第1項・第3項)。