民事調停
民事調停
- 民事調停とは、裁判官または裁判所に設置された調停委員会が紛争当事者の主張を聞き、関連資料等様々な事項を検討して当事者の合意を導くことで調停する制度のことをいいます。紛争を簡単かつ迅速に解決することができます(「民事調停法」第1条)。
- 民事調停は、訴訟に比べ、迅速に解決できます。調停を申請すると、直ちに調停期日が定められ、一回目の調停期日に調停が終わることがほとんどであり、訴訟の費用も正式の裁判による訴訟手続きに比べ、少なく済みます。
・ 民事調停を申請する際、裁判所に納付する手数料は、基本的に訴訟提起の際に添付する印紙額の約1/5で、予納する送達料金も当事者1人当たり5回分で訴訟手続きのうち最も額の少ない少額事件(当事者1人当たり10回分)より少なくなります。
民事調停と民事訴訟の違い
民事調停
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訴訟に比べ、費用が安く済むだけでなく、簡単で迅速に紛争が解決するという利点がある。 調停の成立に、関係者の合意を必要とするという点で訴訟とは本質的に異なり、第三者の仲介が必須という点で、必ずしも仲介は要しない和解と区別される。
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民事訴訟
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紛争当事者の双方が権利を主張し、争いのある事実関係に関する証拠を提出すると、裁判所がどちらの当事者の主張が正しいか判断し、判決として紛争を強制的に解決する制度
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民事調停手続き
民事調停申請
- 紛争当事者の一方が裁判所に調停を申請する、または当該訴訟事件を審理中の裁判官が職権をもって調停に回付すると、民事調停が始まります(「民事調停法」第2条及び第6条)。
- 民事調停申請は書面または口頭でもすることが可能です(「民事調停法」第5条)。
民事調停期日の通知
- 民事調停申請を行うと、紛争当事者に調停期日が通知されます(「民事調停法」第15条第1項)。
- 紛争当事者は、調停期日に出席し、調停担当裁判官の前で陳述しなければなりません。ただし、特別な事情のある場合、調停担当裁判官の許可を得て代理人を出席させる、または補助者を同伴することができます(「民事調停規則」第6条第1項)。
- 調停の担当判事は、相当と認める場合、当事者の申請を受け、または同意を得て、ビデオなど中継装置による中継設備により、あるいはインターネットの画像処理システムを利用して調停期日に開くことができます(「民事調停規則」第6条の2第1項)。
民事調停の成立
- 当事者の間に合意がなされ、調停調書が作成されると、調停が成立します(「民事調停法」第28条)。
- 一方、①被申請人が調停期日に出席せず、または②合意がなされず、あるいは③当事者との間で合意の内容が適切でないと認めた事件について、裁判所は職権をもって調停に代わる決定を下します。この調停に代わる決定について、その決定文を当事者が受け、①2週間以内に異議申し立てをせず、あるいは②異議申し立てが却下され、または③異議申し立てが取り下げられた場合は、裁判上の和解をしたものと同一の効力が発生します(「民事調停法」第30条、第32条及び第34条第4項)。
民事調停の効力
民事調停の効力
- 当事者との間で成立した民事調停は、裁判上の和解と同等の効力が生じるので(「民事調停法」第29条)、再び訴訟を提起することはできず、決定内容が履行されない場合、申請者は強制執行を申請することができます。
- 一方、①調停をしないとした決定があり、または②調停が成立しないものとして終結し、または③調停に代わる決定について2週間以内に異議申し立てを行った場合は訴訟が提起されたものとみなし、その場合、新しく訴訟手続きが進められます(「民事調停法」第26条、第27条、第34条及び第36条第1項)。