韓国消費者院を利用する
韓国消費者院
- 韓国消費者院の被害の救済は、消費者紛争解決基準等の関連法により両当事者にとって公正かつ客観的に合意を勧告する制度で、裁判所の判決とは異なり、強制力はありませんが、費用が掛からず、迅速に紛争を解決することができます。韓国消費者院は「
消費者紛争解決基準」により紛争の当事者に合意を勧告しますが、合意がなされなかった場合、消費者紛争調整委員会が調整の決定を行います。
消費者被害救済の申請
- 被害救済の申込(依頼)者
・ 消費者は物品またはサービス(以下、「物品等」と略す。)の使用により被害が発生した場合、韓国消費者院に被害の救済を申し込むことができます(「消費者基本法」第55条第1項)。
・ また、国家・地方自治体または消費者団体は、消費者から被害救済の申請を受ける場合、韓国消費者院にその処理を依頼することができます(「消費者基本法」第55条第2項)。
- 被害救済の申請方法
・ 被害救済の申請または依頼は書面によって行わなければなりません。ただし、緊急時、またはやむを得ない場合に限り、口頭または電話等で行うこともできます(「消費者基本法施行令」第43条第1項)。
- 被害補償の合意勧告
・ 申込書が受け付けられると、韓国消費者院は事実の調査を経て消費者と事業者に被害補償に関する合意を勧告します(「消費者基本法」第57条)。
- 被害救済の処理期間
・ 申込書が受け付けられた後、30日以内に合意がなされければ、被害救済の手続きは終了しません(「消費者基本法」第58条)。
- ただし、医療・保険・農業及び漁業関連の事件と、被害原因の究明に試験・検査または調査が必要な事件については、60日の範囲内で処理期限が延長されることがあります(「消費者基本法」第58条ただし書及び「消費者基本法施行令」第44条)。
- 韓国消費者院の被害救済処理の手続き中に、当該事件について裁判所に訴訟が提起された場合、その時から被害救済手続きが中止します(「消費者基本法」第59条)。
・ 30日(延長された場合は最大90日)が過ぎても合意がなされないと、消費者紛争調整委員会に事件が回付され、再び紛争調整の手続きが進められます(「消費者基本法」第58条本文)。
消費者紛争調整委員会による紛争の解決
消費者紛争調整委員会による紛争の解決
- 消費者被害の当事者である消費者または事業者が韓国消費者院または消費者団体の合意勧告を受け入れなかった場合、消費者紛争調整委員会が調整の決定を下します。
- 調整の決定内容に当事者が同意すると、裁判上の和解の効力が発生し、紛争の当事者のうち、どちらでもその調整決定に不服の場合、民事訴訟を提起することができます。
個別紛争調整の申請
- 消費者と事業者との間で発生した紛争について、消費者被害関連機構にて消費者紛争が解決せず、または韓国消費者院の消費者被害救済の手続きで合意勧告による合意がなされなかった場合、消費者紛争調整委員会に紛争の調整を申し込むことができます(「消費者基本法」第65条第1項)。
個別紛争調整の期間
- 消費者紛争調整委員会は、原則的に調整の申請を受けた日より30日以内に紛争の調整を終わらせなければなりません(「消費者基本法」第66条第1項)。
- ただし、やむを得ない事情のある場合、その期間を延長することができますが、その場合、延長の事由と期限を明示し、当事者(代理人を含む)に通知しなければなりません(「消費者基本法」第66条第2項)。
※ 消費者紛争調整委員会の紛争調整の手続きのうち、当該事件について裁判所に訴訟が提起されると、その時から紛争調整の手続きが中止します(「消費者基本法」第59条及び第65条第5項)。
紛争調整の決定
- 調整において決定された内容は、直ちに当事者に通知され、当事者が通知を受けた日より15日以内に、意思表示のない場合は受諾したものとみなします(「消費者基本法」第67条)。
※ もし、受諾を拒否する場合、受諾拒否の意思表示は書面により行わなければなりません(「消費者基本法施行令」第55条第1項)。
紛争調整の効力
- 調整が成立すると、調整書が作成されます。その調整書の内容は、裁判上の和解と同一の効力が与えられます(「消費者基本法」第67条第4項)。
※ つまり、消費者紛争調整委員会において調整が成立した場合、再び訴訟を提起することはできません。
調整不成立後の処理方法
- 消費者紛争調整委員会の調整決定について、当事者一方がそれを拒否し、調整が不成立となった場合、裁判所の訴訟手続き(少額審判制度、民事調停制度、民事訴訟制度)により解決することができます。
消費者紛争調整委員会による集団紛争調整の手続き
- 物品またはサービスの使用により同様または類似したタイプの被害が多数の消費者に発生した場合に、以下に該当する事件については、消費者紛争調整委員会が一括して紛争調整を行うことができます(「消費者基本法」第68条第1項及び「消費者基本法施行令」第56条)。
・ 物品等による被害が同様または類似したタイプで発生した消費者のうち、以下の消費者を除く消費者の数が50人以上の場合
√ 自律的紛争調整、合意勧告、その他の方法により事業者と紛争の解決や被害補償に関する合意がなされた消費者
√ 個別法により設置された紛争調整機構により紛争の調整が進められている消費者
√ 当該物品等による被害について裁判所に訴訟を提起した消費者
・ 事件の重要な争点が事実上または法律上、共通していること
- 集団紛争調整結果の効力は、調整手続きに参加した多数の消費者すべてに発生し、調整手続きに参加できなかった消費者に対しても、事業者が調整決定の内容を受諾し、補償計画書を提出した場合、補償計画書により被害の補償を受けることができます。
・ 集団紛争調整の開始及び公告
√ 集団紛争の調整の依頼または申し込みを受けた消費者紛争調整委員会は、議決により調整手続きを開始することができます(「消費者基本法」第68条第2項)。
√ その場合、集団紛争調整の手続きが開始するという事実が、韓国消費者院ホームページ(
www.kca.go.kr)及び全国に普及する日刊新聞に14日間掲載されいます(「消費者基本法」第68条第2項及び「消費者基本法施行令」第58条)。
・ 集団紛争調整の当事者でない消費者または事業者は、上記の公告期間内に書面により参加を申し込むことができます(「消費者基本法」第68条第3項及び「消費者基本法施行令」第59条第1項)。