債務不履行の成立
債務不履行の成立
- 債務者が故意または過失により弁済期に貸付金を弁済できない場合、債権者は契約上の債務である元利金(元金と利息を含む金額)とは別に損害賠償を請求することができます。しかし、債務者が故意または過失なくして履行できなくなったときは損害賠償は請求できません(「民法」第390条)。
· 「故意」とは、自らの違法行為の結果、そのような損害が発生するであろうことを知っていて、その発生を容認することをいいます。
· 「過失」とは、社会生活の上で求められる程度の注意を払っていれば結果の発生が避けられたにもかかわらず、注意を払わなかったことで結果が発生したことをいいます。
貸付金請求の範囲
賠償額が予定された場合:予定された賠償額
- 借用書を作成する際に賠償額を予定した場合は、自らが被った損害賠償の範囲を具体的に立証する必要はなく、相手方の債務不履行の事実のみによって予定の賠償額を請求することができます(「民法」第398条第1項)。
· 予定賠償額が多すぎる場合は、裁判所が減額することができます(「民法」第398条第2項)。
賠償額が予定されていない場合:元利金に法定利率により加算
- 賠償額が予定されていない場合は、「民法」により年5%(商事債務の場合は年6%)の法定利率で定めます(「民法」第397条第1項本文、「民法」第379条及び「商法」第54条)。
· しかし、「利息制限法」の制限(年20%)に違反しない約定利率があれば、その利率に従います(「民法」第397条第1ただし書、「利息制限法」第2条第1項及び「利息制限法第2条第1項の利息の上限に関する規定」)。
- 金銭債務不履行に対する損害賠償については債権者は損害の証明を要せず、債務者は無過失を抗弁できません(「民法」第397条第2項)。