代物弁済
代物弁済の意義
- 債務者が債権者の承諾を得て、本来の債務履行に代わり、他の給付をなした時は、弁済と同様の効力を有します(「民法」第466条)。
· たとえば、500万ウォンを借りた債務者が債権者の承諾を得て彼が本来支払うべき500万ウォンの金銭債務に代わり、ダイヤの指輪を渡すような場合をいいます。
代物弁済の要件
- 当事者間に代物弁済の合意がなければなりません。
- 債権が存在しなければなりません。
- 本来の給付とは異なる給付をなすことを約定しなければなりません。
· 別の給付は本来の給付と同等の価値であることを必ずしも要しません。
· したがって、500万ウォンの貸付金債務者が400万ウォンのダイヤの指輪を渡すことを債権者と約束することも可能です。
- 実際に本来の債務履行に代わる別の給付がなされなければなりません。
代物弁済の効果
- 代物弁済がなされれば、弁済と同様の効果があります(「民法」第466条)。
- したがって、貸付金債務は消滅します。
相殺
相殺の意義
- 「相殺」とは、債権者と債務者が互いに同じ種類の債権・債務を持つ場合、その債権と債務を対当額で消滅させる一方的な意思表示のことをいいます。
· たとえば、債権者と債務者が100万ウォンの金銭消費貸借をし、債務者にはすでに債権者からもらうべき金額50万ウォンがある場合、50万ウォンの金額については債務者が債権者に相殺の意思表示をすると同時に債務が消滅します。
相殺の要件
- 双方が同じ種類を目的とした債務を負担した場合、その双方の債務の履行期が到来した時は、それぞれ債務者は対当額において相殺することができます。しかし、債務の性質が相殺を許さないときは相殺できません(「民法」第492条第1項)。
- 当事者が異なる意思表示を行った場合は、相殺できません。しかし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することはできません(「民法」第492条第2項)。
相殺の方法
- 相殺は相手方に対する意思表示により行われます。この意思表示は条件または期限を付けることはできません(「民法」第493条第1項)。
- 消滅時効が完成した債権がその完成の前に相殺できたものであれば、その債権者は相殺することができます(「民法」第495条)。
相殺の禁止
- 債務が故意の不法行為によるものの場合は、その債務者は相殺をもって債権者に対抗することはできません(「民法」第496条)。
- 債権が差し押えられないものの場合は、その債務者は相殺をもって債権者に対抗することはできません(「民法」第497条)。
- 差押・仮差押のように、給付を禁止する命令を受けた第三債務者は、その後に取得した債権についての相殺をもってその命令を申し立てた債権者に対抗することはできません(「民法」第498条)。
相殺の効果
- 相殺の意思表示は、各債務が相殺できる時に対当額において消滅させたものとみなします(「民法」第493条第2項)。
更改
更改の意義
- 「更改」とは、債務の要素を変更することにより、新しい債務を成立させると同時に、旧債務を消滅させる契約のことをいいます。
· たとえば、債権者が、債務者の弁済資力が及ばなくなったため債務者と近しい資力のある別の債務者へと債務者を変更させたり、または債権者が第三者を債権者にするため債務者・第三者との契約する場合などを挙げることができます。
更改の要件
- 消滅する債務がなければなりません。
- 新債務が成立しなければなりません。
· 更改による新債務が、原因の不法または当事者の知らない事由により成立されず、あるいは取り消された時は、旧債務は消滅しません(「民法」第504条)。
- 債権者、債務者または内容を変更する等、債務の要素が変更されなければなりません。
· 債務者の変更による更改は債権者と新債務者との契約によりこれを行うことができます。しかし、旧債務者の意思に反して行なうことはできません(「民法」第501条)。
· 債権者の変更による更改は確定日付のある証書にしなかった場合、これにより第三者に対し対抗することができません(「民法」第502条)。
更改の効果
- 当事者が債務の重要な部分を変更する契約を結んだ時は、旧債務は更改により消滅します(「民法」第500条)。
免除
免除の要件・効果
- 債権者が債務者に債務を免除するという意思表示を行った時は、債権は消滅します。しかし、免除をもって正当な利益を持つ第三者に対抗することはできません(「民法」第506条)。
· たとえば、債権者と債務者が100万ウォンの金銭消費貸借の契約を締結したが、債務者の苦境にあることを知り、それを受け取らないという意思表示を行った場合は、100万ウォンの債権は消滅します。
混同
混同の要件・効果
- 債権と債務が同一主体に属する時は、債権は消滅します。しかし、その債権が第三者の権利の目的である場合には、消滅しません(「民法」第507条)。
· たとえば、夫が妻に1000万ウォンを貸してあげたが、夫が死亡して妻が単独で相続人になった場合は、相続により妻が夫に返済すべき1000万ウォンの債務は消滅します。