交通違反点数、累積点数および処分交通違反点数の区分
交通違反点数
- 「交通違反点数」とは、行政処分の基礎資料として利用するため、法規違反または交通事故についてその違反の軽重、被害の程度等により付ける点数のことをいいます[「道路交通法施行規則」別表28第1号イ目(1)]。
累積点数
- 「累積点数」とは法規違反・事故の際、交通違反点数を累積して合計した点数から相殺値(無違反・無事故期間が経過した際に与えられる点数等)を引いた点数のことをいいます[「道路交通法施行規則」別表 28第1号イ目(2)本文]。
累積点数= 毎違反・事故の際の交通違反点数の累積点数-相殺値
処分交通違反点数
- 「処分交通違反点数」とは、具体的な法規違反・事故についてこれから停止処分基準を適用するに当たって必要な交通違反点数のことで、累積点数からすでに停止処分が執行された交通違反点数の合計を引いた点数のことをいいます[「道路交通法施行規則」別表28第1号イ目(3)]。
処分交通違反点数
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= 累積点数– すでに処分が執行された交通違反点数の合計
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= 毎違反・事故の際の交通違反点数の累積点数 – 相殺値 – すでに処分が執行された交通違反点数の合計
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交通違反点数の総合管理
交通違反点数の累積点数管理
- 法規違反または交通事故による交通違反点数は、行政処分基準を適用しようとする当該違反または事故のあった日を基準に、過去3年間のすべての交通違反点数を累積して管理されます[「道路交通法施行規則」別表28第1号ロ目(1)]。
処分交通違反点数の消滅および相殺等
無違反・無事故期間の経過による交通違反点数の消滅
- 処分交通違反点数が40点未満の場合、最終違反日または事故日より違反および事故がなく1年が経過した場合、その処分交通違反点数は消滅します[「道路交通法施行規則」別表28第1号ロ目(2)]。
逃走車両の通報による交通違反点数の控除
- 人的被害のある交通事故を起こし、逃走した車両の運転者を検挙し、または通報により検挙に導いた運転者(交通事故の被害者でない場合に限る)には検挙または通報の度に40点の特別点数を与え、期間に関係なくその運転者が停止または取消し処分を受けた際に累積点数からこの点数を控除します。その場合、控除点数は40点が単位となります[「道路交通法施行規則」別表28第1号ロ目(3)イ.]。
マイレージ制度
- 「運転免許の特別点数に関する基準告示」(警察庁告示第2013-3号、2013.7.22.発令・施行)により無違反・無事故を誓約し、1年間これを実践した運転者には、誓約を守る度に10点の特別点数を与え、期間に関係なくその運転者が停止処分を受けた際に累積点数からこれを控除します。その場合、控除点数は10点が単位となります[「道路交通法施行規則」別表28第1号ロ目(3) ロ.]。
特別交通安全教育による処分交通違反点数および停止処分の執行日数の軽減(「道路交通法施行規則」別表28第1号ニ目)
- 処分交通違反点数が40点未満の者が特別交通安全推奨教育のうち、違反点数軽減教育を修了した場合、警察署長に教育済証を提出した日より処分交通違反点数から20点が軽減されます。
- 免許停止処分を受けた者が交通素養教育を修了した場合、警察署長に教育済証を提出した日より停止処分期間から20日が軽減されます。ただし、当該違反行為について運転免許行政処分の異議審議委員会の審議、行政審判または行政訴訟を通じて免許停止期間が軽減された場合は、それ以上軽減されません。
- 運転免許停止処分を受ける予定であるか受けた者が、特別交通安全義務教育又は特別交通安全推奨教育のうち法規遵守教育(推奨)を終えた後、特別交通安全推奨教育のうち現場参加教育を修了した場合、警察署長に教育済証を提出した日より停止処分期間から30日が追加で軽減されます。ただし、当該違反行為について運転免許行政処分の異議審議委員会の審議、行政審判または行政訴訟を通じて免許停止期間が軽減された場合は、それ以上軽減されません。
模範運転者に対する処分執行日数の軽減(「道路交通法施行規則」別表28第1号ニ目)
- 模範運転者(無事故運転者または有功運転者の表示状を受けた者で、交通安全ボランティア活動を行った者)については免許停止処分の執行期間が2分の1に軽減されます。ただし、処分の交通違反点数に交通事故による交通違反点数が含まれた場合は除きます。
交通違反点数の取消し
交通事故が裁判所の判決により無罪が確定した場合
- 交通事故(法規違反を含む)が裁判所の判決により無罪が確定(嫌疑無し、または罪とならず不起訴処分となった場合を含む)した場合、直ちに運転免許の行政処分を取消し、当該事故または違反による交通違反点数が削除されます[「道路交通法施行規則」別表28第1号ホ目本文]。
- ただし、精神疾患またはてんかんの患者、または麻薬・大麻・向精神薬またはアルコール依存症者等運転免許を受けられない事由により無罪が確定した場合は、交通違反点数が削除されません[「道路交通法施行規則」別表28第1号ホ目但書]。
免許の取消し・停止処分の軽減
免許の取消し・停止処分に対し、軽減できる事由(「道路交通法施行規則」別表28第1号ヘ目)
- 飲酒運転で運転免許の取消し処分または停止処分を受けた場合
·運転が家族の生計維持に重要な手段となり、模範運転者として処分当時、3年以上交通ボランティア活動を行っていたり、交通事故を起こし逃走した運転者を検挙し、警察署長以上から表彰を受けた者で、次のいずれにも該当してはなりません。
√ 呼気中アルコール濃度が0.12%を超過して運転した場合
√ 飲酒運転により人的被害のある交通事故を起こした場合
√ 警察官のアルコール測定要求に応じず、逃走した場合、または取り締まり警察官に暴力を振るった場合
√ 過去5年以内に3回以上の人的被害をもたらした交通事故の前歴がある場合
√ 過去5年以内に飲酒運転の前歴がある場合
- 交通違反点数・累積点数の超過により運転免許の取消し処分を受けた場合
·運転が家族の生計維持に重要な手段となり、または模範運転者として処分当時、3年以上交通ボランティア活動を行っていたり、交通事故を起こし逃走した運転者を検挙し、警察署長以上から表彰を受けた者で、次のいずれにも該当してはなりません。
√ 過去5年以内に運転免許の取消し処分を受けた前歴がある場合
√ 過去5年以内に3回以上人的被害のある交通事故を起こした場合
√ 過去5年以内に3回以上運転免許の停止処分を受けた前歴がある場合
√ 過去5年以内に運転免許行政処分の異議審議委員会の審議、行政審判または行政訴訟を通じて行政処分が軽減された場合
- その他定期適性検査または運転免許証の更新の交付に対する延期申請ができなかったやむを得ない事由等により取消し処分の個別基準および停止処分の個別基準を適用することが顕著に不合理だと認められる場合
軽減基準
- 違反行為に対する処分基準が運転免許の取消し処分に該当する場合は、当該違反行為に対する処分交通違反点数を110点とし、運転免許の停止処分に該当する場合はその処分基準の2分の1に軽減させます。
- 交通違反点数・累積点数の超過による免許の取消しに該当する場合、免許が取消しになる前の累積点数および処分交通違反点数をすべて合計し、処分交通違反点数を110点とします。
処理の手続き
- 上記の軽減事由に該当する者は、行政処分を受けた日(定期適性検査を受けず、または運転免許証の更新を行わなかったため運転免許が取り消された場合は、行政処分があったことを知った日)より60日以内にその行政処分について住所地を管轄する地方警察庁長に異議申立てを行わなければならず、異議申立てを受けた地方警察庁長は、「道路交通法施行規則」第96条による運転免許行政処分の異議審議委員会の審議・議決を経て処分を軽減することができます。