相続の効力
相続財産の包括承継
- 相続が開始すると、相続人は、その時から被相続人の財産に係る包括的権利義務を承継します(「民法」第1005条)。
· 相続は、自然人(被相続人)の死亡により開始します(「民法」第997条)。
- このとき、相続を受ける相続財産は相続人の利益となる積極財産だけでなく、債務のような消極財産も含まれます。
· 「積極財産」とは、相続人の利益となる物権、債券、物などの相続財産をいい、「消極財産」とは、債務をいいます。
相続財産
次の事項は、相続財産に該当します(例)。
区分
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相続財産
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積極財産
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動産・不動産などの物件
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物件の所有権、占有権、地上権、地役権、伝貰(チョンセ)、留置権、質権、抵当権などの物権
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特定の者が他の特定の人に対して一定の行為を要求する権利である債権 √ 生命侵害の損害賠償請求権(「民法」第750条) √ 慰謝料請求権(「民法」第751条第1項) √ 離婚による財産分割請求権(「民法」第839条の2第1項) √ 株式会社の株主権(「商法」第335条) √ 有限会社の社員の持分(「商法」第556条) √ 合資会社の有限責任社員の地位(「商法」第283条を参照)
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特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作物に関する権利等の無体財産権
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消極財産
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一般債務 租税
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相続財産でないもの
次の事項は、相続財産ではありません(例)。
区分
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相続財産でないもの
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一身に専属するもの
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- 社団法人の社員の地位(「民法」第56条) - 特殊地役権(「民法」第302条) - 委任契約の当事者の地位(「民法」第690条) - 代理関係の本人または代理人の地位(「民法」第127条) - 組合員の地位(「民法」第717条) - 定期贈与の受贈者の地位(「民法」第560条) - 使用者の地位(「民法」第657条) - 合名会社の社員の持分(「商法」第218条) - 合資会社の無限責任社員の地位(「商法」第218条及び第269条) - 罰金、過料、追徴金
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法律または契約等により帰属が 決定されるもの
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- 生命保険金請求権(「商法」第730条) - 退職年金・遺族年金の請求権 - 祭祀用財産(「民法」第1008条の3) - 香典(賻儀金) - 身元保証人の地位(「身元保証法」第7条) - 保証期限と保証限度額の定めがない継続保証契約の保証債務
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