退職金の支給方法
退職金の計算方法及び支給期間
- 雇用主は、継続勤務期間1年につき30日分以上の平均賃金を退職金として退職者に支払わなければなりません(「労働者退職給付保障法」第8条第1項、第2条第4号及び「勤労基準法」第2条第1項第6号·第2項)。
· 「平均賃金」とは、これを計算しなければならない事由の発生した日以前の3ヶ月間に当該労働者に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で割った金額をいいます。
· 平均賃金が労働者の通常賃金より少ない場合は、その通常賃金を平均賃金とみなします。
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退職金 = [(1日の平均賃金×30日)×合計継続勤務期間]÷365
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- 雇用主は、労働者が退職した場合にその給付事由が発生した日から14日以内(特別な事情がある場合には、当事者間の合意により給付期日を延長することができる)に退職金を支払わなければなりません(「労働者退職給付保障法」第9条第1項)。
- 上記による退職金は、労働者が指定した個人型退職年金制度の口座または「勤労者退職給付保障法」第23条の8による口座に移転する方法により支払わなければなりません(「労働者退職給付保障法」第9条第2項本文)。
※ ただし、次の場合には、その限りではありません(「労働者退職給付保障法」第9条第2項ただし書及び「労働者退職給付保障法施行令」第3条の2)。
√ 労働者が55歳以降に退職して給付を受ける場合
√ 給付が雇用労働部長官が定めて告示する金額以下の場合
√ 労働者が死亡した場合
√ 「出入国管理法施行令」第23条第1項により就職活動ができる在留資格を持って国内で労働を提供して退職した労働者が退職後国外に出国した場合
√ 他の法令により給付の全部または一部が控除される場合
退職金の計算における育児休業期間などの取扱い
- 平均賃金の算定期間に産前産後休業及び流産・死産休暇の期間と育児休業の期間がある場合、その期間とその期間中に支払われた賃金は、平均賃金の算定基準になる期間と賃金の総額からそれぞれ除外します(「勤労基準法施行令」第2条第1項第3号·第5号)。
- 育児期労働時間短縮制度を利用した労働者について「勤労基準法」第2条第6号による平均賃金を計算する場合は、その労働者の育児期労働時間短縮期間を平均賃金の算定期間から除外します(「男女雇用平等と仕事·家庭両立支援に関する法律」第19条の3第4項)。
退職金の計算に係る事例
賃金に退職金が含まれたケース
関連判例1 – 賃金に含まれた退職金を認めないケース
雇用主と労働者が、毎月支払われる月給や毎日支払われる日給と一緒に、退職金として一定の金員をあらかじめ支払うことにした約定は、強行法規に反するため無効となります。このことから、雇用主が労働者に対する法律上の原因なく労働者に退職金の名目が含まれる金員を支払うことでその金額相当の損害を被ったのに対し、労働者は同額相当の利益を得たことになるため、労働者は受け取った退職金名目の金員を不当利得として雇用主に返還しなければなりません(大法院2010年5月20日宣告、2007ダ90760全員合議体判決)。
関連判例2 – 賃金に含まれた退職金を認めたケース
賃金について雇用主と労働者の間に、月給や日給などに退職金を含めて支払い、退職時にそれ以外の退職金は支払わないという趣旨の合意が存在するのみならず、賃金と区別される退職金名目の金員の金額が特定でき、退職金名目の金員を除いた賃金の金額などを考慮するとき、退職金分割約定を含む労働契約の内容が従前の労働契約や勤労基準法などに照らして労働者に不利益とならないなど、雇用主と労働者が賃金と区別して追加で退職金名目による一定の金員を支払うことを約定した場合にのみ適用されます。ただし、雇用主と労働者の締結した当該約定が退職金を支払わないで済むように退職金分割約定の形式をとっているだけの場合は適用されません(大法院2012年12月13日宣告、2012ダ77006判決)。
退職金の算定期間に休職期間が重なるケース
- 平均賃金の算定期間に以下に該当する期間がある場合、その期間とその期間に支払われた賃金は、平均賃金の算定基準になる期間と賃金の総額からそれぞれ除外します(「勤労基準法施行令」第2条第1項)。
平均賃金の算定から除外される期間
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▪ 労働契約を締結した見習い期間中の労働者が見習いの開始日から3ヶ月以内の期間 ▪ 雇用主の帰責事由により休業した期間 ▪ 産前産後休業及び流産・死産休暇の期間 ▪ 業務上の怪我または病気の療養のために休業した期間 ▪ 育児休業期間 ▪ ストライキ、サボタージュ、ロックアウトなどの争議行為期間 ▪ 兵役義務を履行するために休職し、または勤務できなかった期間(賃金が支払われた場合を除く) ▪ 業務外の怪我や病気その他の事由により、雇用主の承認を得て休業した期間
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- 休職期間が3ヶ月を超えて平均賃金の算定基準期間がなくなる場合は、休職1日目を平均賃金算定事由の発生日とみなし、それ以前の3ヶ月について平均賃金を計算しなければなりません(雇用労働部「労働者退職給付保障法質疑応答集」13面参照)。