「勤労(労働)基準法」上の労働者
労働者
- 「労働者」とは、職業の種類に関係なく、賃金を得るために事業や事業場に労務を提供する人のことをいいます(「労働者退職給付保障法」第2条第1号及び「勤労基準法」第2条第1項第1号)。
関連判例1 –「勤労基準法」上の労働者の判断基準
「勤労基準法」上の労働者に該当するかどうかは、雇用契約·請負契約·委任契約といった契約の形式よりも労務提供関係の実態に照らしてみたとき、労務提供者が事業または事業場において賃金を得るために使用従属関係の下で雇用主に労務を提供したかどうかによって判断すべきである(大法院2017年1月25日宣告、2015ダ59146判決)。
関連判例2 – 美容学院の講師が雇用主から具体的な個別の指揮·監督を受けず、勤労所得税ではなく事業所得税を納付し、4大保険にも加入していない場合
基本給は講師の講義時間に応じて支払われるため担当科目と講義時間によって一定ではなく、受講者がいなければ担当科目は閉講となって講師料も支払われなかった事情、自分たちの講師料収入について勤労所得税ではなく事業所得税を納付し、講師料収入から勤労所得税を源泉徴収するのではなく事業所得税、住民税だけを控除した残りの金額が支払われてきた事情、健康保険·国民年金·雇用保険·産業災害補償保険の「4大保険」に上記学院の事業場労働者として加入していなかった事情、被告人が講師たちに対して服務·懲戒などに関する就業規則、服務規程、人事規程など一切の規程を定めていなかった事情は、最近急激に増加しているパートタイム労働者によくある状況であり、または雇用主が経済的に優越な地位に立って事実上任意に定めた事情に過ぎない。また、講師たちが雇用主から講義内容や方法などに関する具体的な個別の指揮·監督を受けないのは、知的活動として行われる講義業務の特性によるものであって、彼らが労働者ではなかったためとみることもできない。したがって、上記のような事情だけでは上記美容学院講師の労働者性を否定することはできない(大法院2007年9月7日宣告、2006ド777判決)。
- 常時4名以下の労働者を使用する事業場でも、2010年12月1日から「労働者退職給付保障法」が適用され、以下の基準に従って退職給付を支給しなければなりません(「労働者退職給付保障法」附則(法律第10967号、2011年7月25日)第8条)。
· 2010年11月30日以前の退職給付:退職給付の支給義務なし
· 2010年12月1日から2012年12月31日までに対する退職給付:50%
· 2013年1月1日以降の退職給付:全額
労働者性が認められない場合
同居親族のみで構成される事業場及び家事使用人
- 同居親族のみを使用する事業、事業場及び家事使用人については、労働者とみなされません(「勤労基準法」第11条第1項ただし書き、「労働者退職給付保障法」第3条ただし書き及び「期間制及び短時間労働者保護等に関する法律」第3条第1項ただし書き)。
使用従属関係が認められないケース
関連判例1 – 郵便局保険管理士の労働者性否認
郵便局で保険管理士として働き、退職した甲らが退職金などの支給を求めた事案において、郵便局と委託契約を締結して郵便局で取り扱う保険の契約締結を仲介するとともに、保有顧客管理や保険料集金などの契約を維持する業務その他関連付随業務を遂行し、郵便局保険管理士運営指針などにより報奨金や手当を受け取ってきた保険管理士は、郵便局と使用従属関係にあって賃金を得るために労務を提供したとは認めがたいため、甲らは「勤労基準法」上の労働者に該当しない(大法院2013年6月27日宣告、2011ダ44276判決)。
関連判例2 – ゴルフ場キャディの労働者性否認
ゴルフ場で働くキャディは、①ゴルフ場施設運営者との間に労働契約·雇用契約などの労務供給契約を全く締結しておらず、②その競技補助業務はもともとゴルフ場側が利用客に対して当然提供すべきサービスというわけではないため、キャディによるサービスはゴルフ場の施設運営において必要不可欠なものではなく、③利用客の競技補助業務を遂行した対価として利用客から直接キャディフィーのみ受け取っており、ゴルフ場の施設運営者からはいかなる金品も受け取らず、④ゴルフ場でサービスを提供するにあたってその順番の決まりはあるものの労働時間の決まりはなく、自分の仕事を終えればすぐにゴルフ場の施設から離れることができ、⑤利用客の減少などによって予定された順番に自分の帰責事由なくサービスの提供ができなくても、ゴルフ場の施設運営者からキャディフィーに相当する金品や勤労基準法による所定の休業手当は全く受け取っておらず、⑥利用客に対する業務遂行の過程でゴルフ場の施設運営者から具体的·直接的な指揮·監督は受けておらず、⑦勤労所得税を納付しておらず、⑧利用客に対する競技補助業務の遂行を怠っても、そのサービスを提供する順番が一番最後に回されるなど事実上の不利益を受けるのみで、ゴルフ場の施設運営者がキャディに対して会社の服務規律違反などを理由に特段の懲戒処分を行わないことなど、様々な事情を総合的に見れば、ゴルフ場の施設運営者に対して使用従属関係の下で賃金を得るために労務を提供する「勤労基準法」第14条所定の労働者に当たるとはいえない(大法院2014年2月13日宣告、2011ダ78804判決及び大法院1996年7月30日宣告、95ヌ13432判決)。