交通弱者の移動権
「交通弱者」とは、障害者、高齢者、妊産婦、乳幼児連れの人、子どもなど、日常生活で移動に不便を感じている人のことをいいます(「交通弱者の移動便宜増進法」第2条第1号)。
交通弱者は、人間としての尊厳と価値及び幸福を追求する権利の保障を受けるために、交通弱者ではない人々が利用するあらゆる交通手段、旅客施設及び道路を差別なく安全かつ便利に利用して移動できる権利を有します(「交通弱者の移動便宜増進法」第3条)。
交通弱者への配慮内容
移動便宜施設(バリアフリー施設)が設置されます。
- 「移動便宜施設」とは、車椅子乗降設備、障害者用エレベーター、障害者に配慮した步道、授乳ができる休憩施設など、交通弱者が交通手段、旅客施設または道路を利用して移動する際の便宜を図るために設けられた施設と設備のことをいいます(「交通弱者の移動便宜増進法」第2条第7号)。
安全で便利な路線バスの利用が保障されます。
- 路線バス運送事業者は、交通弱者が安全・便利にバスを利用できるように、乗降時間を十分にとって乗降の便宜を図らなければならず、低床バス及び車椅子乗降装置を装着したバスなど交通弱者が便利かつ安全に利用できる構造を持つバス(以下「低床バスなど」という)を保有している場合は一般バスと低床バスの運行を適切に配分しなければなりません(「交通弱者の移動便宜増進法」第14条第1項)。
<低床バスに乗車する様子>
- 低床バスなどを次の台数以上運行しようとする事業者が、優先的に路線旅客自動車運送事業の免許を取得できるようにしています(「交通弱者の移動便宜増進法」第14条第2項及び「交通弱者の移動便宜増進法施行令」第14条第1項)。
· 低床バスの場合:次の台数
√ 特別市と広域市:運行しようとするバス台数の2分の1
√ 市(特別市と広域市は除く)と郡:運行しようとするバス台数の3分の1
· 車椅子乗降装置を装着したバス:運行しようとするバス台数の2分の1
- 市長や郡守(郡の長)が地方交通弱者の移動便宜増進計画を立て、または道知事が交通弱者の移動便宜増進支援計画を立てるときは、低床バスなどの導入や運行、交通弱者の利用しやすさを考慮したバス停や道路などの施設整備計画を反映させ、これに従って低床バスなどを導入するようにしており、この場合、「交通弱者の移動便宜増進法施行令」で定める路線バスの運送事業者に予算の範囲内で財政支援を行わなければなりません(「交通弱者の移動便宜増進法」第14条第3項及び第4項)。
安全で便利な地下鉄の利用が保障されます。
- 交通弱者が安全・便利に地下鉄を利用できるように、地下鉄車両の10分の1以上に相当するスペースは交通弱者専用区域に割り当てられています(「交通弱者の移動便宜増進法」第15条第1項)。
· 交通弱者専用区域の座席は交通弱者が利用しやすい構造や材質にし、色は一般座席と区別できるようにしなければなりません(「交通弱者の移動便宜増進法施行規則」第4条第1項)。
· さらに、交通弱者専用区域に指定された車両の外側には、交通弱者が利用できる施設であることを表すピクトグラムを表示しなければなりません(「交通弱者の移動便宜増進法施行規則」第4条第2項)。
· また、交通弱者専用区域には車椅子利用者のための専用スペースを2ヶ所以上指定し、車椅子固定設備及び手すりを設置しなければなりません(「交通弱者の移動便宜増進法施行規則」第4条第3項)。
<交通弱者の方が地下鉄を利用される際のお役立ち情報>
· 1千万人のソウル市民の足となっている地下鉄。体の不自由な交通弱者でも例外なく便利に利用できるよう、ソウル交通公社では、さまざまな利便サービスを提供しています。
· アプリ「トタ地下鉄」を通じて交通弱者のためのサービスを提供しています。
√ アプリ「トタ地下鉄」で「交通弱者」ボタンを押すと、電動車椅子の急速充電器やテレビ電話機(手話)がどの駅にあるか、確認することができます。
√ ベビーカーや車椅子を利用する乗客に欠かせないエレベーターの点検や修理状況に関する情報を得ることもできます。
√ この他にも、アプリからテキストメッセージを送信して、ソウル施設公団の障害者コールタクシーサービスを要求することもでき、画面左上の
「≡」を押して路線図の色弱向け設定サービスを利用することもできます。
· コールセンター、お客様案内センターに移動ヘルパーを申請することができます。
√ スマートフォンを利用しない場合、またはアプリ「トタ地下鉄」を利用するのが難しい場合は、コールセンター(1577-1234)まで問い合わせるか、あるいは直接駅の顧客案内センターにおいて、視覚障害者向けの案内が必要なとき、車椅子が必要なとき、列車とホームの間が広く、助けが必要なときなど、様々な移動ヘルパーサービスを利用することができます。
√ お1人では地下鉄を利用するのが困難な視覚障害者の方の移動を支援するサービスを利用することもできます。乗車する駅のお客様案内センターまたはコールセンターに移動動線を教えて頂くと、駅員が同行し、乗車・乗り換え、外部への出入口までの移動をお手伝いします。
√ 各駅では車椅子を保有しておりますので、支援が必要な場合、サービスを受けようとする駅またはコールセンターまでご連絡ください。
· ソウル交通公社ホームページ(www.seoulmetro.co.kr)にアクセスすると、交通弱者向け利便施設について、多様かつ詳しい情報が得られます。
<出典:知っておくと便利な交通弱者向け地下鉄利用Tip>