少額賃借人の優先弁済権
少額賃借人の優先弁済権
- 少額賃借人は賃借住宅に対し、先順位担保権者の競売申請登記前に対抗力を備えた場合、保証金のうち一定額につき別の担保物権者より優先して弁済を受ける権利を有します(「住宅賃貸借保護法」第3条第1項及び第8条第1項)。
少額賃借人の優先弁済の要件
少額賃借人の範囲に属すること
- 最優先弁済を受けられる賃借人は、保証金が以下の区分による金額以下の賃借人でなければなりません(「住宅賃貸借保護法」第8条第3項、第8条の2及び「住宅賃貸借保護法施行令」第11条第1項)。
· ソウル特別市: 1億6千500万ウォン
· 「首都圏整備計画法」による過密抑制圏域(ソウル特別市を除く)、世宗特別自治市、龍仁市、華城市及び金浦市:1億4千500万ウォン
※ 過密抑制圏域は、「首都圏整備計画法施行令」別表1からご確認いただけます。
· 広域市(「首都圏整備計画法」による過密抑制圏域に含まれた地域と郡地域を除く)、安山市、広州市、坡州市、利川市及び平沢市: 8千500万ウォン
· その他の地域: 7千500万ウォン
住宅に対する競売申請の登記前まで対抗要件を備えること
- 賃借人は賃借住宅に対する競売申請の登記前に対抗要件である住宅の引渡しと住民登録を備えなければなりません(「住宅賃貸借保護法」第3条第1項及び第8条第1項後段)。
- 対抗要件は執行法院の定めた配当要求の終期である競落期日まで続けて存続します(大法院1997. 10. 10. 宣告95ダ44597判決)。
賃借住宅が競売または滞納処分により売却されること
- 少額賃借人が優先弁済権を行使するためには、賃借住宅が競売または滞納処分により売却される場合でなければなりません(「住宅賃貸借保護法」第3条の2第4項及び第8条第2項)。
配当要求または優先権行使の届出があること
- 賃借住宅が競売または滞納処分により売却される場合、執行法院に配当要求をするか、滞納処分庁に優先権行使の届出をしなければなりません(大法院2002. 1. 22. 宣告2001ダ70702判決)。
· 配当要求は債権の原因と額を記した書面をもって行います。その場合、配当要求の資格を証明する書面を提出しなければなりません(「民事執行法」第88条第1項及び「民事執行規則」第48条)。
優先弁済権の効果
保証金のうち一定額の保護
- 少額賃借人が賃借住宅に対する競売申請の登記前に対抗力を備えた場合、保証金のうち一定額を別の担保物権者より優先して弁済を受ける権利を有します(「住宅賃貸借保護法」第3条第1項及び第8条第1項)。
· 少額賃借人が優先弁済を受けることのできる金額は、その保証金のうち、以下の区分による金額以下となります。この場合、優先弁済金額が住宅価額の2分の1を超過するときには、住宅価額の2分の1に該当する金額に限ります(「住宅賃貸借保護法施行令」第10条第1項及び第2項)。
√ ソウル特別市: 5千500万ウォン
√ 「首都圏整備計画法」による過密抑制圏域(ソウル特別市を除く)、世宗特別自治市、龍仁市、華城市及び金浦市: 4千800万ウォン
√ 広域市(「首都圏整備計画法」による過密抑制圏域に含まれた地域と郡地域を除く)、安山市、広州市、坡州市、利川市及び平沢市: 2千800万ウォン
√ その他の地域: 2千500万ウォン
- この場合、1つの住宅の賃借人が2名以上で、それぞれの保証金のうち一定額の合計額が住宅の価額の2分の1を超過するときには、それぞれの保証金のうち一定額の合計額に対する各賃借人の保証金のうち一定額の比率でその住宅の価額の2分の1に該当する金額を分割した金額を各賃借人の優先弁済金額とみなします(「住宅賃貸借保護法施行令」第10条第3項)。
優先弁済権を行使できない少額賃借人
優先弁済権を行使できない少額賃借人
- 賃借住宅が賃借権登記命令の執行により賃借権登記が完了した住宅をそれ以降に賃借した賃借人は、少額賃借人に該当する場合であっても優先弁済権を行使することはできません(「住宅賃貸借保護法」第3条の3第6項)。