賃借権の相続
賃借人が死亡し、相続人がいない場合
- 賃借人が相続人のいない状態で死亡した場合、その賃借住宅において家庭共同生活を行った事実上の婚姻関係にある者が単独で賃借人の権利と義務を承継します(「住宅賃貸借保護法」第9条第1項)。
※ 「家庭共同生活」とは、同居しながら生計を一にすることを意味します。
- 賃借人が死亡し、賃借住宅において家庭共同生活を行っていた事実上の婚姻関係にあった者もいない場合、賃借権を含む賃借人の相続財産は国に帰属します(「民法」第1058条第1項)。
賃借人が死亡し、相続人がいる場合
- 賃借人が死亡した時、相続人が賃借人とともに賃借住宅において家庭共同生活を行っている場合は相続人が承継し、事実上の婚姻関係にある者は賃借権を承継することはできません(「民法」第1000条、第1001条及び第1003条)。
- 賃借人が死亡した時、相続人が賃借人とともに賃借住宅において家庭共同生活を行っていなかった場合、賃借住宅において家庭共同生活を送っていた事実上の婚姻関係にあった者と2親等以内の親族が共同で賃借人の権利と義務を承継します(「住宅賃貸借保護法」第9条第2項)。
賃借権承継の放棄
賃借権承継の放棄
- 死亡した賃借人の債務が保証金返還債権を超過して賃借権を承継することが不利である等のような事由により、賃借権の承継権者が賃借権を承継することを望まない場合は、賃借人が死亡してから1か月以内に賃貸人に対し、反対意思つまり賃借権を承継しないという意思表示をし、賃借権の承継を放棄することができます(「住宅賃貸借保護法」第9条第3項)。
賃借権承継の効果
賃借権承継の効果
- 賃借人の権利義務を承継した者は、賃貸借関係により生じた債権と債務を承継します(「住宅賃貸借保護法」第9条第4項)。