転貸借の制限
転貸借の概念
- 住宅の転貸借とは、賃借人が自らの賃借権に基づき賃借住宅を第三者に使用・収益できるようにする契約のことをいいます。
転貸借の制限
- 転貸借契約は賃貸人の同意とは関係なく転貸人(本来の賃借人)と転借人(新しい賃借人)当事者間の契約により有効に成立します。しかし、賃借人は賃貸人の同意なく賃借物を転貸できず、これに違反する場合、賃貸人は賃貸借契約を解約することができます(「民法」第629条)。
賃貸人の同意のある転貸借
転貸借による法律関係
- 転貸人と転借人間の関係は、転貸借契約の内容により定められ、転貸人は転借人に対し、賃貸人としての権利義務を有します。
- 賃貸人は賃借人に対し、賃貸借契約による権利を行使することができます(「民法」第630条第2項)。
- 転借人は賃貸人に対し、直接義務を負担します。しかし、転借人は転貸人に対する借賃の支払いをもって賃貸人に対抗することはできません(「民法」第630条第1項)。
· 賃貸借関係が、期間満了等でなく賃貸人と賃借人の合意により契約を終了させた場合には、転借人の権利は消滅しません。したがって、転貸借の存続を賃貸人と賃借人に主張することができます(「民法」第631条)。
賃借住宅の転貸と対抗力
- 賃借人が対抗力を取得した後に、賃借住宅を転貸した場合
· 対抗力を備えた住宅賃借人が賃貸人の同意を得て適法に転貸した場合、転貸により賃借権の公示方法である占有と住民登録が変更されたとしても、本来の賃借人が有する賃借権の対抗力は消滅せず、同一性を維持したまま存続します(大法院2010. 6. 10、宣告、2009ダ101275、判決)。
- 賃借人が対抗力を取得せずに、賃借住宅を転貸した場合
· 賃借人が賃借住宅の引渡しと住民登録を行わないまま賃貸人の同意を得て賃借住宅を 転貸し、その転借人が住宅を引き受け、自らの住民登録を終えた場合、賃借人はその時から対抗力を取得します(大法院1994. 6. 18. 宣告94ダ3155判決)。
賃貸人の同意のない転貸借
転貸借による法律関係
- 転借人は転貸人に住宅を使用・収益させる旨を内容とする債権を取得し、転貸人は転借人に対して借賃請求権を有します。
- 賃貸人と賃借人間の賃貸借関係はそのまま存続しますが、無断転貸を理由に賃借人との契約を解約することができます(「民法」第629条第2項)。
- 賃貸人の同意のない賃借住宅の転貸は、賃貸人に対してその効力を主張することができませんので、転借人が住宅を占有したときには賃貸人に対しては不法占有となり、賃貸人は所有権に基づき転借人に賃借住宅の返還を請求することができます(「民法」第213条及び第214条)。
賃借住宅の転貸と対抗力
- 賃借人が賃貸人の同意なく賃借住宅を転貸した場合、原則的にその効力がないため、賃借人または転借人は賃借住宅の転貸をもって第三者はもちろん賃貸人にも対抗することができません。