再審査請求の当事者
、再審査請求人
- 審査請求に対する決定に不服のある者は、産業災害補償保険再審査委員会(以下、「再審査委員会」という。)に再審査を請求することができます(「産業災害補償保険法」第106条第1項本文)。
- ただし、業務上疾病判定委員会の審議を経た保険給付に関する決定に不服のある者は、「産業災害補償保険法」第103条に基づく審査請求を行わず、再審査を請求することができます(「産業災害補償保険法」第106条第1項ただし書き)。
再審査請求人の地位の承継
- 再審査請求人が死亡した場合、その請求人が保険給付の受給権者の場合、「産業災害補償保険法」第62条第1項、または「産業災害補償保険法」第81条による遺族が、その他の者であれば相続人または審査請求または再審査請求の対象である保険給付に関する権利・利益を承継した者がそれぞれ請求人の地位を承継します(「産業災害補償保険法」第110条)。
再審査請求の被請求人
- 再審査請求に対する被請求人は保険給付決定等を下した勤労福祉公団です(「行政審判法」第17条第1項及び「産業災害補償保険法」第111条第3項)
再審査請求の提起
再審査請求の方法
- 再審査請求は、その保険給付決定等を下した勤労福祉公団の分事務所(以下、「地域本部または支社」という。を経て再審査委員会に提起しなければなりません(「産業災害補償保険法」第106条第2項)。
- 再審査請求は以下の事項を記した文書により行わなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第105条第1項)。
· 再審査請求人の氏名及び住所(再審査請求人が法人の場合、その名称・所在地及び代表者の氏名)
· 再審査請求の対象となる保険給付決定等の内容
· 審査請求に対する決定(業務上疾病判定委員会の審議を経た保険給付に関する決定に不服のある者が審査請求を経ないまま再審査請求を行う場合は、保険給付に関する決定等)があったことを知った日
· 再審査請求の趣旨及び理由
· 再審査請求に関する告知の有無及びその内容
- 再審査請求人が災害を被った労働者でない場合(診療費に対する決定及び薬剤費に対する決定に対する審査請求の場合は除く)は、再審査請求書に上記の記載事項以外に、以下の事項を記さなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第2項、第105条第2項)。
· 災害を被った労働者の氏名
· 災害を被った労働者の災害当時の所属事業の名称及び所在地
· 再審査請求を選定代表者または代理人が提起する場合、上記の各記載事項以外に選定代表者または代理人の氏名と住所を再審査請求書に記さなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第3項、第105条第2項)。
- 再審査請求書には、再審査請求人または代理人が署名または捺印しなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第4項、第105条第2項)。
再審査請求の期間
- 再審査請求は審査請求に対する決定があったことを知った日より90日以内に提起しなければなりません(「産業災害補償保険法」第106条第3項本文)。
- ただし、業務上疾病判定委員会の審議を経た保険給付に関する決定に不服のある者が審査請求を経ないまま、再審査請求を行う場合は、保険給付に関する決定があったことを知った日より90日以内に提起しなければなりません(「産業災害補償保険法」第106条第3項)。
再審査請求に対する補正の要求及び却下
- 再審査委員会は再審査請求が再審査請求期間を経てから提起され、または法令の方式に違反しているため補正できない場合、または再審査委員会が定めた補正期間に補正しなかった場合は、却下決定を下さなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第97条第1項及び第113条)。
- 再審査請求が法令の方式に違反したものであっても補正できる場合は、再審査委員会は相当の期間を設け、再審査請求人に補正を要求することができます(「産業災害補償保険法施行令」第97条第2項本文及び第113条)。
※ ただし、補正事項が軽微な場合は、再審査委員会は職権により補正することができます(「産業災害補償保険法施行令」第97条第2項ただし書き及び第113条)。
保険給付決定等の執行停止
保険給付決定等の執行停止
- 再審査請求は該当する保険給付決定等の執行を停止させません(「産業災害補償保険法施行令」第98条第1項本文及び第113条)。
※ ただし、再審査委員会はその執行により発生する重大な損失を避けるため、緊急に必要だと認めた場合、その執行を停止させることができます(「産業災害補償保険法施行令」第98条第1項ただし書き及び第113条)。
- 再審査委員会が保険給付決定等の執行を停止させた場合、遅滞なく以下の事項を記した文書により審査請求人に知らせなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第98条第2項・第3項及び第113条)。
· 再審査請求の事件名
· 執行停止の対象である保険給付決定等及び執行停止の内容
· 再審査請求人の氏名及び住所
· 執行停止の理由
再審査請求に対する裁決
再審査請求に対する裁決の方法
- 再審査請求に対する裁決は、以下の事項を記した文書により行わなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第101条第1項・第2項及び第113条)。
1. 事件番号及び事件名
2. 再審査請求人の氏名及び住所(再審査請求人が法人の場合、その名称・所在地及び代表者の氏名)
3. 選定代表者または代理人の氏名及び住所(再審査請求を選定代表者または代理人が提起する場合のみ該当する)
4. 再審査請求人が災害を被った労働者でない場合は、災害を被った労働者の氏名及び住所
5. 主文
6. 再審査請求の趣旨
7. 理由
8. 裁決年月日
、裁決書(正本)の送付など
- 勤労福祉公団が再審査請求に対する裁決を下した後は、勤労福祉公団及び再審査請求人に裁決書(正本)を送付しなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第101条第3項及び第113条)。
- 再審査委員会が再審査請求に対する裁決を下す場合は、再審査請求人に再審査請求に対する裁決について行政訴訟を提起することができるかどうか、行政訴訟を提起する場合の手続き及び請求期間を知らせなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第101条第4項及び第113条)。
再審査委員会の裁決の効力
- 再審査委員会の裁決は、勤労福祉公団を羈束します(「産業災害補償保険法」第109条第2項)。