審査請求の当事者
審査請求人
- 審査請求人は、審査請求の対象である保険給付決定等に不服のある者で、その取り消しまたは変更を求められる法律上の利益のある者をいいます(「行政審判法」第13条第1項及び「産業災害補償保険法」第111条第3項)。
審査請求人の地位承継
- 審査請求人、または再審査請求人が死亡した場合、その請求人が保険給付の受給権者であれば遺族が、その他の者であれば相続人または審査請求もしくは再審査請求の対象である保険給付に関連する権利・利益を承継した者が、それぞれ請求人の地位を承継します(「産業災害補償保険法」第110条)。
被請求人
- 審査請求の被請求人は該当審査請求の対象である保険給付決定等を下した勤労福祉公団になります(「行政審判法」第17条第1項及び「産業災害補償保険法」第111条第3項)。
審査請求の提起
審査請求の対象
- 以下のいずれかに該当する勤労福祉公団の決定等(以下、「保険給付決定等」という。)に不服のある者は、勤労福祉公団に審査を請求することができます(「産業災害補償保険法」第103条第1項)。
1. 保険給付に関する決定
2. 診療費に関する決定
3. 薬剤費に関する決定
4. 診療計画の変更措置など
5. 保険給付の一時支給に関する決定
6. 合併症などの予防管理に関する措置
7. 不当利得の徴収に関する決定
8. 受給権の代位に関する決定
審査請求方法
- 審査請求は、その保険給付決定等を下した勤労福祉公団の分事務所(以下、「地域本部または支社」という。を経て、勤労福祉公団に提起しなければなりません(「産業災害補償保険法」第103条第2項)。
- 審査請求は以下の事項を記した文書(以下、「審査請求書」という。)によって行わなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第1項)。
· 審査請求人の氏名及び住所(審査請求人が法人の場合は、その名称・所在地及び代表者の氏名)
· 保険給付決定または措置等の内容(以下、「保険給付の決定等」という。)
· 保険給付決定等があったことを知った日
· 審査請求の趣旨及び理由
· 審査請求に関する告知の有無及び告知の内容
- 審査請求人が災害を被った労働者でない場合(上記の診療費の決定及び薬剤費に関する決定に対する審査請求の場合は除く)には、審査請求書に、上記の記載事項以外に以下の事項を記さなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第2項)。
· 災害を被った労働者の氏名
· 災害を被った労働者の災害当時の所属事業の名称及び所在地
· 審査請求を選定代表者または代理人が提起する場合、上記の各記載事項以外に選定代表者または代理人の氏名と住所を審査請求書に記さなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第3項)。
- 審査請求書には審査請求人、または代理人が署名または捺印しなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第96条第4項)。
審査請求の期間
- 審査請求は保険給付の決定等があったことを知った日より90日以内にしなければなりません(「産業災害補償保険法」第103条第3項)。
審査請求に対する補正の要求及び却下
- 勤労福祉公団は、審査請求が審査請求期間を過ぎて提起され、もしくは法令の方式に違反しているため補正できない場合、または勤労福祉公団の定めた補正期間に補正していない場合は、却下決定を下さなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第97条第1項)。
- 審査請求が法令の方式に違反したものであっても補正できる場合、勤労福祉公団は相当の期間を設け、審査請求人に補正を要求することができます(「産業災害補償保険法施行令」第97条第2項本文)。
※ ただし、補正事項が軽微な場合では、勤労福祉公団がその職権により補正することができます(「産業災害補償保険法施行令」第97条第2項ただし書き)。
保険給付決定等の執行停止
保険給付決定等の執行停止
- 審査請求は該当する保険給付決定等の執行を停止させません(「産業災害補償保険法施行令」第98条第1項本文)。
※ ただし、勤労福祉公団はその執行により発生する重大な損失を避けるため、緊急に必要があると認めた場合、その執行を停止させることができます(「産業災害補償保険法施行令」第98条第1項ただし書き)。
- 勤労福祉公団が保険給付決定等の執行を停止させた場合は、遅滞なく以下の事項を記した文書をもって審査請求人に知らせなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第98条第2項・第3項)。
· 審査請求の事件名
· 執行停止の対象である保険給付決定等及び執行停止の内容
· 審査請求人の氏名及び住所
· 執行停止の理由
審査請求に対する決定
審査請求に対する決定
- 審査請求に対する決定は、以下の事項を記した文書により行わなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第101条第1項・第2項)。
1. 事件番号及び事件名
2. 審査請求人の氏名及び住所(審査請求人が法人の場合は、その名称・所在地及び代表者の氏名)
3. 選定代表者、または代理人の氏名及び住所(審査請求を選定代表者、または代理人が提起する場合のみ該当)
4. 審査請求人が災害を被った労働者でない場合は、災害を被った労働者の氏名及び住所
5. 主文
6. 審査請求の趣旨
7. 理由
8. 決定年月日
、審査決定書(正本)の送付など
- 勤労福祉公団が審査請求の決定を下した場合、審査請求人にその審査決定書(正本)を送付しなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第101条第3項)。
- 勤労福祉公団が保険給付決定等を下し、または審査請求の決定を下す時は、その相手、または審査請求人にその保険給付決定等、または審査請求の決定について、審査請求または再審査請求を提起することができるかどうか、提起する場合の手続き及び請求期間について知らせなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第101条第4項)。