療養費の支給事由
療養費の支給事由
- 勤労福祉公団は業務上の災害を被った労働者(以下、「産業災害労働者」という。)を産業災害保険指定医療機関において療養させる代わりに以下の療養費を産業災害労働者に直接支給することができます[「産業災害補償保険法」第40条第2項ただし書き、「産業災害補償保険法施行令」第38条第1項及び「療養業務処理規定」 第21条第3項・第4項]。
- 産業災害保険指定医療機関でない医療機関において救急治療など緊急に療養した場合で、以下のいずれかに該当する療養費
1. 当該労働者の災害が発生した場所の近隣に産業災害保険指定医療機関がなく、産業災害保険指定医療機関でない医療機関においてやむを得ず療養を受けて負担した療養費
2. 産業災害労働者の傷病状態が特殊医療施設または技術を要する場合で、近隣に所在する産業災害保険指定医療機関にその必要な施設または技術が備えられておらず、産業災害保険指定医療機関でない医療機関において救急治療など緊急に療養し、産業災害労働者が負担した療養費
3. 1. または2. に基づき、産業災害労働者が産業災害保険指定医療機関でない医療機関において手術した後、傷病状態を確認するため、その医療機関において通院治療を受け、負担した療養費
4. 1. 及び2. に準ずる場合で、産業災害労働者が産業災害保険指定医療機関でない医療機関において救急診察を受けた後、医療機関または薬局に負担した療養費
- 以下のいずれかに該当する療養給付にかかる費用(産業災害保険医療機関が提供しない場合に限る)
· 義肢、その他補助器の支給
· 看病
· 移送
- その他、以下のいずれかに該当する療養費
· 最初の療養給付の決定前に産業災害労働者が業務上の災害により療養した場合の療養費
· 保険関係成立を申告しなければならない法定期限の翌日から保険関係成立を申告した日までの期間中に発生した災害で、産業災害労働者が業務上の災害により療養し負担した療養費
· 追加の傷病または再療養の決定前に産業災害労働者が追加の傷病または再療養でやむを得ず療養し負担した療養費
· 療養の給付決定当時、療養を担当している産業災害保険指定医療機関以外の医療機関において救急診察を受けて負担した療養費
療養費の請求
療養費の請求
- 産業災害労働者がやむを得ず療養費を負担し、その費用を請求する場合は、療養費請求書に費用明細書を添え、勤労福祉公団に提出しなければなりません(「産業災害補償保険法施行令」第38条第2項、「療養業務処理規定」第21条第1項及び別紙第10号書式)。
※ 療養費の請求は勤労福祉公団に直接請求する方法の他に、勤労福祉公団の『雇用・産業災害保険トータルサービス』を通じて、ネットによる申請も可能です。
療養費の請求と療養給付請求権の消滅時効
- 消滅時効の期間
· 療養給付請求権は療養を受けた日の翌日より3年間行使しないことによって時効により消滅します(「産業災害補償保険法」第112条第1項第1号)。
- 消滅時効の中断
· 療養給付請求権の消滅時効は療養給付受給権者の療養給付申請(療養費の請求を含む)により中断します(「産業災害補償保険法」第113条前段)。
· したがって療養費の請求がある場合、療養費の請求日から逆算して3年を超える部分に対する療養給付請求権については消滅時効が完成しますが、3年以内の部分及び将来発生しうる部分に対する療養給付請求権については、療養費の請求により時効の進行が中断します(「産業災害補償保険法」第113条前段、大法院1989. 11. 14. 宣告、89ヌ2318判決)。
· 療養給付請求権の消滅時効を中断させた療養費の請求が業務上の災害であるかどうかの判断を必要とする最初の請求の場合、療養費の請求による時効中断の効力は、別の保険給付にも及びます(「産業災害補償保険法」第113条後段)。
療養費の支給
療養費の支給
- 療養費は、療養費の支給決定日より14日以内に支給しなければなりません(「産業災害補償保険法」第82条第2項)。
- 療養費として支給された金品については、国または地方自治体からの公課金は課せられません(「産業災害補償保険法」第91条)。
未支給療養費の請求及び支給
- 未支給療養費受給権者の決定
· 未支給療養費の遺族間の受給権の順位は、以下の順となりますが、同一順位の者の間では、それぞれ書かれた順に従います。この場合、同一順位の受給権者が2名以上の場合、その遺族に対し、同額に分けて支給します(「産業災害補償保険法」第65条第1項及び「産業災害補償保険法施行令」第77条)。
√ 労働者が死亡した当時、その労働者と生計を一にしていた配偶者・子女・父母・孫及び祖父母
√ 労働者が死亡した当時、その労働者と生計を一にしていなかった配偶者・子女・父母・孫及び祖父母、または労働者が死亡した当時、労働者と生計を一にしていた兄弟姉妹
√ 兄弟姉妹
· 父母は養父母を先順位、実父母を後順位とし、祖父母は養父母の父母を先順位、実父母の父母を後順位とし、父母の養父母を先順位、父母の実父母を後順位とします。(「産業災害補償保険法」第65条第2項及び「産業災害補償保険法施行令」第77条)。
· 受給権者の遺族の順位にもかかわらず、労働者が遺言で未支給療養費の支給を受ける遺族を指定した場合、その指定に従います(「産業災害補償保険法」第65条第4項及び「産業災害補償保険法施行令」第77条)。
- 未支給療養費の請求
· 療養費の受給権者が死亡した場合、その遺族が死亡した受給権者の代わりに未支給療養費を受け取るためには、未支給保険給付請求書を勤労福祉公団に提出しなければなりません[「産業災害補償保険法」第81条、「補償業務処理規定」第49条及び別紙第29号書式]。
- 未支給療養費の支給
· 未支給療養費は、未支給療養費の支給決定日より14日以内に支給されなければなりません(「産業災害補償保険法」第82条第1項)。
療養費受給権の譲渡及び差押えの禁止など
- 療養費を受ける権利は労働者が退職しても消滅しません(「産業災害補償保険法」第88条第1項)。
- 療養費を受ける権利は譲渡または差押えを受けたり、担保として提供することはできません(「産業災害補償保険法」第88条第2項)。
不当利得の徴収
- 虚偽やその他不正の方法により療養費を受け取った者からはその金額の2倍に該当する金額を徴収します(「産業災害補償保険法」第84条第1項前段)。