療養給付の意義
療養給付の意義
- 「療養給付」とは、労働者が3日以内に治癒できない業務上の怪我または疾病にかかった場合、労働者が治癒するまで産業災害保険の医療機関で療養させるようにする産業災害補償保険給付のことをいいます(「産業災害補償保険法」第40条)。
療養給付の支給要件及び範囲
療養給付の支給要件
- 療養給付は労働者が業務上の事由により怪我を負い、または疾病にかかった場合、その労働者に支給されます(「産業災害補償保険法」第40条第1項)。
- ただし、怪我または疾病が3日以内の療養により治癒できる場合には、療養給付は支給されません(「産業災害補償保険法」第40条第3項)。
療養給付の範囲
- 産業災害労働者には診察及び検査、薬剤または診療材料・義肢・その他補助器の支給、処置、手術、その他の治療、リハビリテーション治療、入院、看護及び看病、移送などが療養給付として支給されます(「産業災害補償保険法」第40条第4項)。
療養給付の支給方法
原則的に産業災害保険指定医療機関において療養
- 勤労福祉公団は労働者が業務上の事由により怪我を負い、または病気にかかった場合、原則的にその労働者を産業災害保険指定医療機関において療養させます(「産業災害補償保険法」第40条第2項本文及び第43条第1項)。
※ 産業災害保険指定医療機関とは、①勤労福祉公団に設置する医療機関、②「医療法」第3条の4に基づく上級総合病院、③「医療法」第3条に基づく医療機関と「地域保健法」第10条による保健所(「地域保健法」第12条による保険医療院を含む)のうち、勤労福祉公団が指定した医療機関または保健所のことをいいます。
例外的な療養費の支給
- 勤労福祉公団はやむを得ない事由がある場合、労働者を産業災害保険指定医療機関で療養させる代わりに、労働者に直接療養費を支給することができます(「産業災害補償保険法」第40条第2項ただし書き)。
療養期間の延長など
療養期間の延長
- 産業災害保険指定医療機関は療養給付を受けている労働者の療養期間を延長する必要がある場合には、その労働者の傷病経過、治療予定期間及び治療方法などを記した診療計画を勤労福祉公団に提出しなければなりません(「産業災害補償保険法」第47条第1項)。
医療機関の変更
-療養中の労働者は、以下のいずれかに該当する事由がある場合、勤労福祉公団に医療機関の変更を申請することができます(「産業災害補償保険法」第48条第2項)。
· 療養中の産業災害保険指定医療機関の人力・施設などが、その労働者の専門的な治療またはリハビリテーションに合わず、別の産業災害保険指定医療機関に移る必要がある場合
· 生活の根拠地において療養するため、別の産業災害保険指定医療機関へ移る必要がある場合
· 上級総合病院において専門的な治療を受けた後、別の産業災害保険指定医療機関へ移る必要がある場合
追加の傷病療養
- 業務上の災害により療養中の労働者は、以下のいずれかに該当する場合は、その怪我または疾病(追加の傷病)に対する療養給付を申請することができます(「産業災害補償保険法」第49条)。
· その業務上の災害により既に発生した怪我や疾病が追加で発見し、療養が必要な場合
· その業務上の災害により発生した怪我や疾病が原因となり、新しい疾病が発生し、療養が必要な場合
再療養
-療養給付を受けた者が治癒後、療養の対象となっていた業務上の怪我または疾病が再発し、または治癒当時より状態が悪化し、それを治癒するために積極的な治療が必要だという医学的所見がある場合、再び療養給付を受けることができます(「産業災害補償保険法」第51条第1項)。