業務上の災害の意義
業務上の災害の意義
- 「業務上の災害」とは、業務上の事由による労働者の怪我・疾病・障害または死亡のことをいいます(「産業災害補償保険法」第5条第1号)。
疾病による業務上の災害の認定基準
業務上の事由による疾病・障害または死亡の発生
- 労働者が、以下のいずれかに該当する疾病にかかり、またはその疾病により障害が生じ、あるいは死亡した場合、業務上の災害とみなします(「産業災害補償保険法」第37条第1項第2号)。
· 業務の遂行過程で、物理的因子、化学物質、粉塵、病原体、身体に負担をかける業務など、労働者の健康に障害を起こしうる要因を取り扱い、またはそれに曝され発生した疾病
· 業務上の怪我が原因となり、発生した疾病
· 職場いじめ、顧客の暴言などによる業務上の精神的ストレスが原因となって発生した病気
· その他、業務に関連して発生した疾病
業務及び業務上の事由による疾病・障害・死亡との間に相当因果関係があること
- 上記の業務上の災害の認定基準にかかわらず、業務と疾病・障害・死亡との間に相当因果関係がない場合は、業務上の災害とはみなしません(「産業災害補償保険法」第37条第1項ただし書き)。
- 相当因果関係の意義
·「相当因果関係」とは、一般的な経験や知識に照らし合わせ、そのような事故がある場合、そのような災害が発生するであろうと認められる範囲で因果関係を認めなければならないということをいいます。
- 因果関係の立証責任
· 因果関係の存在に対する立証責任は、保険給付を受けようとする者(労働者または遺族)が負います(大法院2005. 11. 10. 宣告、2005ドゥ8009判決)。
- 因果関係の判断基準
· 業務と災害との因果関係である相当因果関係は、普通の一般人でなく、当該労働者の健康と身体条件を基準とし、判断しなければなりません(大法院2008. 1. 31. 宣告、2006ドゥ8204判決、大法院2005. 11. 10. 宣告、2005ドゥ8009判決)。
- 因果関係の立証程度
· 因果関係は必ず医学的・科学的に明白に立証されなければならないものではなく、労働者の就業当時の健康状態、発病経緯、疾病の内容、治療の経過など諸般の事情を考慮した際、業務と疾病との間に相当因果関係があると推断される場合も認められます(大法院2007. 4. 12. 宣告、2006ドゥ4912判決)。
労働者の故意・自傷行為、または犯罪行為による疾病・障害・死亡でないこと
- 労働者の故意・自傷行為、犯罪行為、またはそれが原因となり発生した疾病・障害・死亡は業務上の災害とはみなしません(「産業災害補償保険法」第37条第2項本文)。
- ただし、その怪我・疾病・障害または死亡が正常な認識能力などが明確に低下した状態で行った行為により発生した場合で、以下のいずれかに該当する事由があれば、業務上の災害とみなします(「産業災害補償保険法」第37条第2項ただし書き及び「産業災害補償保険法施行令」第36条)。
· 業務上の事由により発生した精神疾患で治療を受け、または現在受けている者が精神的な異常状態で自傷行為を行った場合
· 業務上の災害により療養中の者がその業務上の災害による精神的な異常状態で自傷行為を行った場合
· その他、業務上の事由による精神的な異常状態で自傷行為を行ったという相当因果関係が認められる場合