事故による業務上の災害の認定基準
業務上の事故による災害が発生すること
- 労働者が以下のいずれかに該当する業務上の事故により怪我もしくは障害が発生し、または死亡した場合、業務上の災害とみなします(「産業災害補償保険法」第37条第1項本文)。
· 労働者が労働契約による業務またはそれに準ずる行為をしている途中で発生した事故
· 事業主が提供した施設物などを利用している途中、その施設物などの欠陥または管理上の不備により発生した事故
· 事業主が主管し、または事業主の支持に基づいて参加した行事または行事準備中に発生した事故
· 休憩時間中、事業主の支配管理下にあるとみなせる行為により発生した事故
· その他の業務に関連して発生した事故
業務と事故による災害との間に相当因果関係があること
- 上記の業務上の災害認定基準にもかかわらず、業務と業務上の事故による災害(怪我・障害・事故)との間に相当因果関係がない場合は、業務上の災害とはみなしません(「産業災害補償保険法」第37条第1項ただし書き)。
- 相当因果関係の意義
·「相当因果関係」とは、一般的な経験や知識に照らし合わせ、そのような事故があった場合、そのような災害が発生しうるであろうと認められる範囲で、因果関係を認めなければならないという意味です。
- 因果関係の立証責任
·因果関係の存在に対する立証責任は、保険給付を受けようとする者(労働者または遺族)が負います(大法院2005. 11. 10. 宣告、2005ドゥ8009判決)。
- 因果関係の判断基準
· 業務と災害との因果関係である相当因果関係は、普通の平均人ではなく当該労働者の健康や身体条件を基準に判断しなければなりません(大法院2008. 1. 31. 宣告、2006ドゥ8204判決、大法院2005. 11. 10. 宣告、2005ドゥ8009判決)。
- 因果関係の立証程度
· 因果関係は必ず医学的・科学的に明らかに立証されなければならないわけではありません。労働者の就業当時の健康状態、発病経緯、疾病の内容、治療の経過など諸般の事情を考慮に入れた際に業務と災害との間に相当因果関係があると推断される場合にも認められます(大法院2007. 4. 12. 宣告、2006ドゥ4912判決)。
- 事故による業務上の災害の判断方法
· 事故の発生が、時間と場所が特定できる「事故による業務上の災害」の場合、その事故が業務遂行またはそれに伴う通常の活動過程で起きた災害かどうかをまず判断し、業務遂行性が認められれば、その災害が業務でない別の理由により特別発生した場合でない限り業務起因性を認め、業務上の災害とみなす方法が主に使わます。
· 疾病の発病を時間的・場所的に特定しにくい「疾病による業務上の災害」の場合、業務遂行性を判断する代わりに業務起因性のみ判断し、その業務により災害が発生したことが立証されれば、業務上の災害とみなす方法が主に使われます。
労働者の故意・自傷行為・犯罪行為による災害でないこと
- 労働者の故意・自傷行為・犯罪行為、またはそれが原因となって発生した災害(怪我・障害・死亡)は、業務上の災害とはみなしません(「産業災害補償保険法」第37条第2項本文)。
- ただし、その怪我・障害・死亡が正常な認識能力などが明らかに低下した状態で行った行為により発生した場合で、以下のいずれかに該当する事由があれば、業務上の災害とみなします(「産業災害補償保険法」第37条第2項ただし書き及び「産業災害補償保険法施行令」第36条)。
· 業務上の事由により発生した精神疾患により治療を受けた人、あるいは受けている人が精神的な異常状態で自傷行為を行った場合
· 業務上の災害により療養中の人が、その業務上の災害による精神的な異常状態で自傷行為を行った場合
· その他、業務上の事由による精神的な異常状態で自傷行為を行ったという相当因果関係が認められる場合